英雄育成計画 ~ side B

アルゴノーツ:もう一つの物語

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飛行都市マギニアがレムリア島に到着してから早半月。 私は埃っぽい部屋で一人、自分とよく似た字で書かれた手紙を息を荒くしながら読んでいた。 朝一番に送られてきたサプライズプレゼントは私の寝ぼけ眼を完全に目覚めさせ、私はすぐさま身なりを整えると古いオーク製のドアをぶち壊す勢いで飛び出した。 拠点にしている冒険者向けの小汚い安宿、狭い街特有の傾斜がついた坂と細い道、邪魔でしか無い客引きがはびこる商店街、騒がしいガキどもがたむろする公園、あくびが出るほどどうでもいい世界が今日はどこかで色づいて見える。 だって、こんなに『彼』と会えなかったのは久しぶりだから。 (早く会いたい、いますぐ!) 手紙の主の事を考えるだけで私の視界がキラキラとちらつき、心臓は飛び出そうなほど跳ねまくる。 おかしくなりそうなほどの歓喜とずっと溜め込んでいた寂しさと、ひとつまみの不安。 私はまるで恋した生娘のようにまっすぐに待ち合わせ場所に向かうと、舞台に上がる役者のように深呼吸してキャラメルの甘い香りの漂うカフェに足を踏み入れた。 指定された二人用のテラス席にいた赤い髪の青年は私に気づいたのかメニューを見たままクスクスと肩を揺らし、私が逸る気持ちを抑えてそっと近づくと彼は花が咲いたように満面の笑みを浮かべた。 「久しぶり、元気だったかい?」 その顔は子供のように幼く無邪気で、上目遣いの瞳孔だけが爛々と光る暗く濁った緑の瞳で見つめられてしまうと私もつい『鏡のように』彼に笑い返してしまうのだ。 「勿論だ──兄さん」

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更新履歴

・2025/03/09:第1版